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スウェーデンも米国同様の国内航空の完全自由化を実行し、これによってSASに競争刺戟を与え、経営改善を可能として国際競争力を回復させた。
一方、どの事業者も運航しようとしない地方路線については補助金について競争入札制を導入して補助金の効率化を図っている。
航空協定についても、一九八〇年代以降、2-②で前述した伝統的な相互主義の形をとらずに、英蘭協定のように、乗り入れ地点自由、輸送力自由といった航空協定を結ぶ国が現われはしめた。
運賃についても、両国政府の認可を必要としない決め方を選ぶ航空協定も登場しており、たとえば、英蘭協定では、両国政府ともノーと言わない限り申請運賃が自動的に発効する形態の運賃規制方式(両国不承認主義)が採用された。
ニュージ土フンドやスウェーデンのような規制主義の代表とみなされていた国々でさえこのような方向転換を行ったのは、規制緩和と競争促進が世界的な流れとなってきた状況では、一国だけが規制を温存して自国産業を保護しても、競争力の低下によって自国産業の市場は結局縮小してしまうからであり、それに対応するには、世界の動きを先取りした積極的な規制緩和・競争促進政策によって対抗するしかないからである。
日本にとって重要なことは、このような世界的な流れにもかかわらず、八六年六月の運輸政策審議会答申以降の政策は、後述するように未だに需給調整規制ありきの考え方を基本としており、本格的な自由競争の視点にはたっていない点である。
今まで日本の主要な競争相手は米国とASEAN・NIESの国々の効率的な航空会社であったが、これからは規制緩和と競争促進政策によって効率改善を果たした欧州・豪州の航空会社を含めた熾烈な競争となる。
先に航空政策の課題に対応するには規制緩和が必要であること、および、規制を維持する理由が乏しいことを述べた。
しかし、そのような視点から規制緩和が要請されることとは別に、世界の流れが競争促進・規制緩和の方向に向かっている中で、日本だけが規制を温存して自国産業を保護しても、それは競争力の低下をもたらすだけであり、日本の航空輸送産業の市場は結局縮小する。
今や、規制緩和の是非を問うている段階では既になく、日本の航空輸送産業は好むと好まざるとを問わず、この世界的な流れに対応せざるを得なくなっていることが認識されなければならない。
むしろ、規制緩和は「与件」であることを認識し、徹底的な規制緩和政策を早急に実行することが求められている。
国内航空も国際競争と無縁ではないもっとも、国内航空については、「国際競争など無関係であり、現下の市場を規制によって確保しておけばそれでよい」との考え方もあるだろう。
しかし、国内輸送事業も国際競争と無関係ではない。
国際輸送のかなりの部分は国内輸送と代替的だからである。
第一に、日本の地方都市から遠距離の海外に向かう旅客にとって、地方都市と国内の主要空港間の国内線は、地方都市と近隣諸国の首都空港間の国内線と代替的である。
たとえば、現在、日本の地方都市とソウルを結ぶ路線の旅客のうち、約一割はソウル以遠を目的地とする旅客である。
第二に、国内航空市場よりも相対的に競争の激しい国際航空市場における運賃の低下は、国内旅行需要から海外旅行へのシフトを引き起こしている。
企業が空洞化するように、消費者にも空洞化という選択肢があることを忘れてはならない。
国内の効率化がなされなければ、保護された業界だけが顧客のいないまま残ってしまうおそれなしとしない。
このような状況のもとでは、国内輸送業者といえども、日本の規制に頼っていては結局国際競争から取り残されてしまい、白身の衰退につながるだけである。
また、価格破壊の動きの中で、規制下にある産業と非規制産業との間の生産性格差が拡大してきている。
乗合バスが自家用車にシェアを奪われたように、あるいは港湾荷役を避けて荷役作業の内陸化をすすめる荷主がみられるように、規制下にある商品やサービスは、それと代替的な競争的サービスにいずれ市場を奪われることになる。
さらに、航空輸送産業と直接には代替的でない産業との間でさえ、労働資源をけじめ生産資源の獲得競争が存在する点を考慮しておくべきだろう。
競争抑制的規制がもたらす積極性のない経営政策は近代化の遅れをもたらし、優秀な人材の確保を阻害し、長期的にその産業を衰退に追い込むだろう。
今後の航空輸送政策のあり方。
徹底した競争の促進が必要前節までで考察したように、今後の市場環境に対応していくためには規制緩和と競争の促進をすすめるべきであること、需給調整規制が根拠を失っていること、世界的な流れの中では日本だけが規制を維持していても無意味なばかりか、世界の趨勢に大きく遅れをとつていること等から考えて、これまでの遅れを取り戻す一層の規制緩和と競争の促進が航空政策には求められる。
一九八六年六月の運輸政策審議会答申は航空分野における規制緩和と自由化の方向性を示したが、その後の航空政策は徐々にその方向で運用されてきたとはいえ、世界の規制緩和と競争促進の流れからすれば、その進み方は遅々たるものであった。
答申後一〇年、英米に遅れること二〇年にして、ようやく九六年六月に「幅運賃制」により国内航空標準運賃に対する規制の弾力化が図られたが、参入については、いまだ新規企業の事業免許や既存路線への新規免許の交付には需給調整が行われている。
国内線の同一路線複数社参入(以下、三社以上の場合も含めてダブトラと呼士条件は八六年の運政審答申以降、徐々に緩和されてきたが、答申一〇年後の一九九六年度になっても、未だ当該路線の年間輸送人員が一定水準以上でなければ、かつ、新規参入者の座席利用率が五〇%以上であるとの予測がただなければ、路線新規参入は認められない。
また、便数の増減も航空会社の自由裁量には任されていない。
九六年六月から導入された新しい運賃制度のもとで、運賃競争がある程度可能になったにもかかわらず、航空会社間の競争が世間で期待されたほどに発生していないのも、参入規制の緩和が不十分な点にある。
自社の経営成果がシェア拡大・利益拡大につながらないような制度のもとでは、航空会社が現状維持型の経営戦略をとるのは当然である(4-参照)。
したがって、参入規制を撤廃して便数や路線を自由にすることが根本的な解決策であるが、国内航空の場合、その輸送量の大部分を担っている羽田空港の発着枠が限界にきており、簡単には便数と路線の自由化は不可能である。
しかし、羽田の発着枠に制約があることと、国内線の競争促進策とは矛盾するものではない。
まず、羽田発着路線以外での自由化は可能である。
羽田発着以外の路線の国内航空における比重は小さいが、そこでの競争の促進は、航空会社の伝統的経営戦略に刺戟を与え、羽田発着路線での企業行動をも競争指向に変える可能性をもつ。
効率な航空会社の発着枠をとりあげて効率的な航空会社へ免許の置き換えを行う制度)を行うことによって、既得権に基づいている現行の発着枠配分を見直し、競争を促進することが可能である。
もっとも、参入事業者の数そのものはそれほど問題ではない。
ダブトラの目的は競争の促進であり、単に同一区間に航空会社が複数社参入していればよいというものではない。
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